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葛藤の乗り越えかた

  • 執筆者の写真: 恭 柴山
    恭 柴山
  • 7月7日
  • 読了時間: 9分

更新日:7月8日

思春期のイライラ

毎日暑いですね。でも子供達は元気です。たのもしいです。



さて、今日は、子供たちが思春期に差しかかり、やらなければいけないことと、やりたくないという感情の間の葛藤をどのように乗り越え、勉強に向かうようになっていくかをご説明したいと思います。



次はこうなる、というのがある程度わかっていれば不安も軽減されるかなと思いました。



なお、詰め込み(管理教育)で勉強をさせる場合には、この葛藤のプロセスを通らない場合があります。従順な子ほど、葛藤を封印し親御さんや塾のいう通りにやるためです。点数はよくても順調に自立の階段を登れないことがあるのです。



あとになればなるほど、葛藤をクリアするのが大変で時間がかかります。大学生とか社会人になってからだと、自己が確立されつつあるため、長期化することもありますので注意が必要です。



さて、精神科医の高橋和巳先生によれば、葛藤を乗り越えるプロセスには3つのステージがあるそうです。



ステージ1 <悩みの発生と自責>

 少し勉強をやらなければならないと思い始めます。でもやりたくないし、めんどくさい。ちょっとやってみる。でもうまくいかない。「やっぱり無理だ!」自分を責めながらも頑張るフェーズです。成果が出ないので、周りからなにか言われたりすると、次のステージ2の反応が起こります。



ステージ2 <逆ギレ>

 「やってられるか!」「うるさい!」と親御さんや先生、教育システムなどに怒りを覚え、反発をします。先生の問題の出し方に文句を言ったり、すねてみたり。表面的には従順に見えている子でも、単にスルーしているだけ、ということもあります。でも、この怒りは、最終的には自分に向かっているので、本人にとってもつらい戦いです。



ステージ1と2を何度も行き来しながら、葛藤を繰り返します。部屋にこもってだんまりになることもあり、周りからは心の中で起きているすごいことが見えないので、サナギに見えます。親御さんや先生から何かを強制されると長期化することがあります。やはり「勉強しなさい。」と言わない方がいいのです。この時期の子供達の要求は、「ほっといてくれ!」です。



ステージ3 <葛藤からの解放>

 ふとしたことをきっかけに「まっ、いいか。とりあえず。」とやりたくない自分の感情も否定しないけど、勉強もやろう、というように落ち着きます。勉強に前向きに向き合えるようになります。親御さんからすれば、最近落ち着いてきた、やる気になった、と嬉しくなるとともに、焦ったりする方もいるでしょう。



今まで待ちに待ったやる気スイッチが入ったのです。親御さんが色めき立ってしまうのも無理はありません。そのため、大量の問題集を与えたりしたくなります。



そういったことをせず、落ち着いて対応すると、自立的に学ぶプロセスをたどります。そこには3つの段階があると考えています。さらに高度な学び方がさらに8段階あるのですが、この第三段階までを中学生が到達できれば十分と考えます。



第一段階 <我流>

 やる気になってすぐにするのは、身近な友達に勉強方法を聞いて一部取り入れたりしながら、我流で勉強を始めるということです。だいたいその日思いついた科目や、宿題をやるというスタイルになりがちです。友達と一緒に勉強したりもします。もちろん、葛藤の状態に戻ったりすることもあります。一進一退なので、そのつもりでサポートする必要があります。



第二段階 <トライアル>

 だいたい友達の勉強方法は、その子にしか通用しない方法だったり、たくさん勉強時間が必要なガツガツ系の方法だったりします。それで思ったより点数が取れないと、このやり方ではうまくいかない、ということに気づきます。すると、勉強方法を先生や信頼できる年長者に聞いてきます。このステージでは、最初は成功体験を積むことが大切なので、うちではやり方を教え、1教科でいいので、90点以上を目指してもらいます。すると、90点以上を取れるやり方を身を持って理解できるようになります。70点で満足して、他の教科を頑張ろうとすると、どの教科もぱっとしない状態になることがあります。



第三段階 <全教科へ適用>

 1教科で90点取ることができれば、欲が出てきます。そして2教科目、3教科目は比較的簡単に上げることができます。全教科に広げるために取り組むべきは「分散学習」です。適切な方法で勉強できれば、比較的短期間で平均90点を取れるようになってきます。やる気になっても焦らないことが大事です。急がば回れ、なのです。



実例として、私の息子のたどってきた様子を少しご紹介します。


息子は中1の最初のテストはすべての科目で50点代以下でした。多くの方はこんな点数を見たらパニックになることでしょう。もちろん私はだいたいどうなるかわかっているので、生まれてから一度も「勉強しなさい。」と言ったことがありません。その時も何も言わずそのままにしていました。ただ、英語のリスニングだけは手伝いました。この頃はまだまだ小学生の延長で、勉強よりゲームや遊び、バスケ、でした。


家で何か聞かれれば、塾でいつも皆に言っていることと同じこと「じゃあ1科目でいいから90点を目指してみれば。」と言っていました。


1年の2学期くらいから、英語リスニングの小テストでは満点を取れるようになりました。3学期には美術が80点を超えました。


2年では美術が90点、理科が80点を超えました。でも夏の模試では英語は25点でした。この頃は勉強は嫌だ、やりたくない、と母親に愚痴っていました。特に英語は嫌いだったようです。美術で90点を超えたとはいえ、他はあまりよくなかったので、さすがにまずいと思ったのでしょう。2年の終わり(1月ころ)には勉強もやらなきゃという気持ちになったようです。


息子だけでなく、塾生に提案した最速の英語の勉強方法があるのですが、それをやると言いました。やり方を教え、1、2年の範囲を3ヶ月間、毎日30分ずつ勉強していました。よく続いたなと思います。ついでに数学も自分で学習計画を立ててやっていました。2年の学年末の数学は95点になりました。英語はまだまだでしたが、それでも70点を超えました。


そして3年の1学期の期末テストでは、英語と数学が96点、美術と社会が100点となりました。


もちろん実力的にはまだまだですし、まだ1日1時間程度しか勉強していないので、本格的にスイッチは入っていないと思います。そして、ここからどこまでやるのかは本人次第です。ただ、中3で適切に学習計画を立てて勉強できるようになれば、ある程度高校でもやっていけるでしょう。


高校生になってそこそこの大学を目指したいなら、本人の希望があれば、もう少し高度な勉強方法を教えようかなと思っています。



実は、葛藤のステージ1からステージ3は、お母様がたどるプロセスでもあります。



ステージ1

「こんなに言っているのにやる気にならない。私の育て方が間違えていたのだろうか。」あの手この手でやる気スイッチを入れようとしますが、なかなかうまくいきません。最初からすんなり従順に勉強をして、高得点を取る子もいるので、うらやましく感じることでしょう。しかし、この時期に葛藤を経験できないとあとが大変です。むしろ、反抗がある子のほうが正常な成長のプロセスをたどっています。うまくいっていますので大丈夫です。


ステージ2

「いい加減にしなさい。」「もう、勝手にしなさい。」とイライラが爆発することもあります。でも、これは必要なプロセスです。しかし、あくまでお母様の中にある感情なので、実は子供には無関係です。たまには怒りをあらわにバトルをしてもいいのですが、本当は子供にぶつけないほうがいいでしょう。お父様とよく話をして解消することをおすすめします。お父様は、この葛藤の時期は、お母様をサポートすることに徹するのがいいでしょう。


ステージ3

ステージ1と2を繰り返すと、「まぁ、いいか。」「何言ってもきかないし、もう本人に任せよう。」「なんとかなるでしょ。」とふっと気が抜けるような感覚になるかもしれません。不安はありますし、まだまだイライラすることもありますが、「本人の人生だし。」と思うようになります。



実はすごいのは、お母様がこの状態になると、子供が変わり始めることです。一心同体とはよくいったものです。お母様が葛藤を抜けると、子供はすぐに反応します。



授業中に「あれっ、この子変わってきたな。」と感じると、その後の面談でお母様から「

もう何を言っても無駄なので、あきらめました。」と言われることがあります。「最近、家で子供がいろいろ話をしてくるようになりました。」と言われることもあります。頑張ってこられたなぁ、と思います。




最後に、子供たちが葛藤の中にいるとき、お父様、お母様ができることは何かをご紹介します。



ステージ1、2

 この時期には、最低限学校の授業はしっかり聞いてくれたらいいな、と内心思いながら、我が子を信じて見守る、ということです。もちろん愚痴を言ったら話を聞いてあげ、時には一緒に笑い、時には叱り、知的刺激を投げかけながら待つということになります。勉強面では、何か一つ自信が持てるように導くのがいいかなと思っています。葛藤を超えた時に拠り所になるためです。もちろん詰め込んでは意味がないので、さりげなく導くことになります。全部を自分でできない場合、プロに頼るのもありです。お母様が負担を感じる時期なので、お父様のサポートが大切となります。


ステージ3

 やる気になってきても慌てず、先生に勉強方法を聞くように伝えましょう。友達ではなく、プロにやり方を聞くことを伝えたほうが早く成果につながりやすいです。根拠のあると言われる勉強法の本を何冊か読むのもありです。


第一段階

 我流に走ってしまったら、一度失敗するまでは修正は難しいかもしれません。失敗した時、「もっといい方法があるみたいよ。」と言ってあげるといいでしょう。


第二、第三段階

 ご家庭では、あたたかい団欒と普段通りのやりとりをされることをお勧めします。あたたかい関わりは子供にとってガソリンです。勉強(車の運転)は本人に任せ、ガソリン補給に徹するとうまくいくことでしょう。




さて長々と書いてしまいましたが、人間対人間のやりとりなので、なかなか教科書通りにはいかないこともあります。でも、このプロセスを親子で乗り越えると、ほんとうに感動的なことが待っています。



あんなにふざけていた子が毎日真剣に机に向かうようになった、勉強ができるようになった、というだけでなく、子どもとの交流が復活し、家庭の中があたたかく、穏やかになります。「あぁ、私が求めていたのはこれだったのかな。」と感じるかもしれませんね。



 
 
 

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