国や会社にあまり頼れない時代になりました。地震や地政学的リスクもあります。
今まで人がやっていたことをAIが担うようになりました。
変化が速いのに、寿命は伸びて、一生の間に何度も仕事を変えるような時代になりました。
そんな時代に、我々大人は子供達に何をしてあげられるでしょうか?
不安が大きい時代には、学歴への信仰が強まることはよく指摘されることです。一部の企業では入社試験の書類選考が通りやすくなるというのは今でもあるでしょう。でも入社後は学歴だけで一生安泰ということはありません。
特に他人に言われた通りに知識や解き方を覚えテストの点数をとる能力は、いわゆる「事務処理能力」です。AIが最も得意とすることです。できたほうがいいかもしれませんが、これからますますそういった仕事は減っていきます。
英語やIT技術、金融リテラシーもあったほうがいいとよく言われますが、皆ができるようになると、強みになりえません。AIができることも増えてきています。
思考力があればいいという意見もよく聞きます。ただ変に理屈っぽい論理派は煙たがられるのが現実です。
コミュニケーション力や対人スキルはすごく大切ですが、「いい人なんだけど」で終わってしまうとなかなかうまくいかないものです。
さらに、将来必要になる知識や能力が、我々大人の理解を超えるものになることも十分考えられます。我々の小さい頃、スマホがこれほど進化することを予測できた当時の大人はほとんどいなかったので、同じようなことが子供たちの将来にも起きることでしょう。
そもそも、子供達が社会に出るまでに、必要だと言われることをすべて大人が考え、学ばせてあげることは不可能です。能力のある子であったとしても、多くの子は思春期に差しかかり、大人のいう通りには動いてくれません。
点数に全振りすることで、その他の面がおろそかになるということもあります。
また、教えてあげたり、問題集をやらせてあげるというスタイルだけでは、大人になって教えてあげる人がいなくなったり、問題集がない現場の課題に当たったら、つまづいてしまう可能性が出てきます。
では、どうすればいいのでしょうか?
私なりに何年も考え試行錯誤する中で出した結論は、その子の個性を尊重しながら、学び方を学んでもらう、ということでした。
必要な時に、必要な知識や能力を学べる能力、それが時代を超えて大切なのではないかということです。
多くの塾生を見ていると、細かく管理せず信じてあげ、適切なタイミングで適切なサポートをしてあげるとそれぞれ自分なりのタイミングで自分の人生に向き合うようになります。
さらに勉強のやり方を教え、根気強くサポートすれば、大きく成績を伸ばし、
自分の力で合格を勝ち取っていきます。
勉強しなければならないけどやる気にならない、勉強の習慣が身につかない、頑張っているのに思ったより点数が取れないなど多くの失敗や葛藤を乗り越え、何をどう勉強すれば結果につながるのかを自分で考える中で主体性を取り戻し、自己管理能力や習慣化する力、抽象的に考える力などが身についていきます。
周りから暖かい目で見てもらえる環境で、自分で自分を励ますやり方を知り、自立につながる学び方を学び、自分で勉強が出来るようになることが大切だと思うのです。
自分の意思で、自分の力で学ぶ力を、柴塾では「独修力」と名づけています。人や本から知識を集めて整理し、アウトプットしながら継続的に学ぶ力です。特に、本や教科書など、書物から学ぶ学び方を大事にしています。
子供の約半分が大人になって本を読まなくなってしまう現実がありますが、本は、経験からの学びを相対化し、深めてくれるため、すべての人に有用と考えるためです。
指示してやらせる管理教育に比べると、主体性を育てるやり方は、辛抱が必要で自分自身の在り方に向き合わされるため、指導側にとって難易度が高いのですが、長期的な視野に立って、我慢強く継続的に段階的にサポートを行うことで可能なことだと実感しています。
塾生達は、「柴塾は勉強をさせられるところではなく、勉強のしかたを学び、教科のポイントを知るところだ。」と言ってくれます。
他人に点数をとらせてもらったのではなく、自分の力で学ぶことの充実感を実感できたとき、子供達はとてもいい表情を見せてくれます。
自立度や学びの深さはそれぞれですが、最終的に子供が自分で学べるように導くことが、我々の使命だと考えています。
そして、それは受験にとどまらず、これからの人生を生きる力になると考えています