志望校をどう選ぶか?
- 恭 柴山

- 2025年11月24日
- 読了時間: 6分

中3生は、最後の成績が出て、私立の高校を決める時期ですね。中2生は、先輩の様子を見て進路について自分ごととして考え始める子も出てくるでしょう。
志望校については、「県立・私立」、「市内・市外」、「専願・併願」、「自分のレベルより上か下か」などいろいろな面で悩まれることと思います。今は選択肢も多様で、何が正しい選択かかなど誰にもわかりません。
もちろん、本人やご家庭がどんな選択をしてもいいわけです。
塾長の立場としては、本人が行きたい、あるいは行くんだと決め、スポンサーであるご両親が納得した進路であれば、そこに受かるように最大限サポートするというスタンスです。
はるか格上のチャレンジでもいいし、格下の高校が気に入ってしまい、そこを受けるのでも構いません。そのため、生徒たちにここにしたほうがいい、と要請することもありません。
ただ、自立をうながすためにも、将来に禍根を残さないためにも、心理学的に気をつけたほうがいいこともあるので、そのあたりを書いておきたいと思います。
万人にとって唯一の正解があるわけではないため、迷いがある時のみ参考にしていただけたらと思います。
1. 県立か私立か?
ご家庭の方針によって、どちらでもいいテーマです。
費用面だけでなく、ナイター設備があるところがいいから、弓道をやりたいから、などの理由で私立を選ぶということはあるでしょう。しかし新しくて設備のいい県立高校もありますし、設備が充実していないことで工夫する力が身につくこともあるため、いろいろ調べてみて、実際に見学をして決めるといいと思います。
2. 市内がいいか、市外か?
近い方が何かあった時にすぐに帰りやすく、何においてもいいのでしょうが、遠いところにも良さがあります。
私は高校時代は往復1時間半、大学時代は往復5時間かけて通ってました。朝はきついのですが、電車の行き帰りで英語を聞いたり、大学時代は3日に2,3冊のペースで本を読んだりしていました。通学時間の過ごし方によっては、充実するかもしれません。本人次第ですね。
3. 専願(単願)がいいか、併願がいいか?
専願(私立の場合)のほうが早く決まり、今の内申より少し上の高校に行くことができて、さらに早くストレスから解放されるので、いい面も多いことは確かです。第一志望が私立なら問題ないでしょう。
ただ、勉強面に関していうと、デメリットもあります。私立が第一志望だったとしても、可能なら併願にして県立も受けたほうがいいとは思います。
理由としては、詰め込まなくても、最も意欲的に、集中して勉強に取り組める時期だからです。
勉強の中身が身につくということだけでなく、勉強に対する取り組み方、さぼりたくなる気持ちとの折り合いのつけ方、集中力の持続のさせ方、緊張状態で成果を上げる方法など、自己コントロールのしかたを学ぶ絶好の機会です。さらに、計画を立てて毎日取り組むことで、段取り力や、どうしたら効率的に覚えられるか、など思考力、実行力が身につく最良のチャレンジでもあります。もちろん他人から詰め込まれると、これらは身につきにくいこともあるので、勉強のしかたにも注意が必要です。
もちろん、スポーツやピアノなど他のことでも身につけられることではあります。しかし、受験は誰もが経験するものであり、自分一人だけではなく、周りの友達とともに緊張感をもって取り組める絶好の機会と考えます。
そして、受験というのは、解答が必ずあり一人で完結する課題なので、大人になってから遭遇する他の課題に比べると格段に易しい部類の課題です。たとえ失敗してもいくらでも取り返しのつく課題でもあります。受かればこれ以上ないほど喜びと達成感を得られる、チャレンジしがいのある課題と思います。
4. 偏差値ランクについて
遺伝的に生まれ持った能力(それほど努力しなくても到達できる学力レベル)の高校を「その子の標準」とすると、それより高い偏差値レベルの格上の高校を受けるのがいいか、それとも、少し楽に入れる高校がいいか? という問題があります。
もちろん、万人に共通する正解はありません。
高い目標を掲げたほうがやる気が出るような、チャレンジ精神旺盛な子の場合、格上の高校で周りについていくほうがいいかもしれません。しかし、自分よりできる子が多いと意気消沈してしまう子もいます。そういう子は、ゆったり入れる高校に行き、そこでいい内申点を取るのも手です。
特に、推薦入試や総合型選抜で大学に行きたいという子は、内申は重要なので、ランクを落として、高校でいい成績を取り、さらっと大学に行くというのは立派な戦略です。
さて、いろいろ項目ごとに書いてみましたが、結局は本人とご家庭の方針に沿って決めればいいことではあります。
短いスパンで考えれば、問題も表面化しないので、むしろお子さんがいい高校であればあるほどよくて、なんの問題もないように思えます。しかし、長いスパンで考えると問題が出てくるケースもあるので、心理学的な指針を書いておきます。
1. 本人が選ぶ
ご両親が決め、お子さんがそれに従う形で進路を選んだ場合、あるいは、表立って進路を要求していなくても、ご両親の期待に沿うようにお子さんが忖度して進路を選んだ場合は、将来に禍根を残すことがありますので注意が必要です。
まるで、自分の人生を生きていないような空虚さをずっと抱えながら生きていく人がいます。そういう人が、周りの期待通りにパフォーマンスを上げられなくなった時に、自分を深く責めてしまい、鬱になることもあります。結婚できない、くらいであればまだ問題ありませんが、健康を蝕むまでになると問題です。
例えていえば、犬に生まれたのに、猫になりなさいと言われても無理です。お子さん本人の意思を引き出し、それを尊重してあげることが、長い目でみたときにお子さんが幸せになれる道だと思います。
2. 直感で選ぶ
頭で考えると、高校の授業内容だとか、大学進学率などスペックが気になります。もちろん、それらも参考にはするのですが、最終的には見学をして、本人が直感で選ぶのがいいと思います。人間というのは、2秒で初対面の人の印象を把握できるくらい精度の高いなセンサーを備えています。最終的な決断は直感で選ぶように促すのがいいと思います。直感を磨いていると、詐欺やブラックな企業にひっかかりにくくなるというメリットもあります。
3. 易きに流れないように注意
たとえ本人が望む進路であっても、単にサボりたいだけだな、と感じることがあります。そういう時は、心を鬼にして、努力を促すのも親の愛情と考えます。厳しさが必要なので、父性の役割ともいえます。
個性を重視するあまり、なんでも子供の言う通りにしてしまうと、「甘やかす」ことになります。「甘えさせてあげる」のは自己肯定感を上げるためいいのですが、「甘やかす」のは問題となることが多いわけです。
もちろん、そうはいってもいろいろな理由で思った通りにできないこともあります。
しかし、理想通りにならないとしても、何が子供にとっていいことなのか、その都度考えて真剣に向き合ってあげる。大変なことですが、親にしかできない最高の愛情ともいえるかなと考えています。



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